税務最新情報

2025年07月01日号 (第544)

KSK(国税総合管理システム)2について

 みなさん、こんにちは。7月になりました。1年の半分が過ぎてしまったと思うと、早いですね。
 前回の記事の中で、令和8年9月24日から、国税庁の内部システムであるKSKがKSK2に刷新するとご紹介しましたが、今回はその内容についてです。

KSK2で、何が変わるのか?

 KSKは国税庁が利用している「国税総合管理システム」とよばれる基幹システムです。来年の9月24日から、KSK2という新たな基幹システムに乗り換えることが発表されています。また国税庁の情報によると、KSK2の開発コンセプトは以下の通りです。

① データ中心の事務処理を実現するシステム(紙からデータ)
② 現在、税目別となっているデータベース・アプリケーションの統合(縦割りシステムの解消)
③ 独自OSを使用する大型コンピュータを中心としたいわゆる「メインフレーム」から、市販の汎用的なOSを使用するいわゆる「オープンシステム」への刷新(メインフレームからの脱却)

 税目別に管理されていたデータベースやアプリケーションが統合されることで、税務調査のあり方が変わる可能性があります。これまでの調査手法では、例えば、調査官が法人税の税務調査に出向いた際に気になる部分が見つかると、一度税務署に戻って所得税の申告状況を確認したりしていました。それにより、法人の処理と個人所得税で数字が矛盾しているなどの問題点が発覚していました。しかし、異なる税目のデータベースが統合されることで、先に税目間の矛盾点が発見され、それが税務調査につながるなど、従来とは逆の調査展開が生じることが予想されます。

 また、OSが汎用的になるということは、税務署内部でのみの利用ではなく、調査先から国税庁のシステムへアクセスして資料の照会が可能になるなど、税務調査がスピーディに進行する可能性があります。

国税庁が考えるDX化の将来像

 国税庁は「税務行政のデジタル・トランスフォーメーション」という資料を公表し、バージョンアップを続けています。

https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/digitaltransformation/pdf/syouraizo2_r0306.pdf

https://www.nta.go.jp/about/introduction/torikumi/digitaltransformation2023/pdf/syouraizo2023.pdf

 上記の令和5年6月23日の資料の38ページに、現行のKSKと来年から利用される予定のKSK2の比較図が公表されています。

 調査先からKSKのシステムを参照する、あるいは異なる税目を横断してシステムを利用し調査先を選定するなどの利用は想像通りですが、インターネットなどの外部データを取り込むという部分は斬新です。現行でも、課税庁がインターネットの情報から脱税に関する情報を入手しているとの報道はありますが、インターネット情報を自動で取り込み、AIが脱税の可能性が高いものを抽出するところまで行うとすると、調査先の選定に関する効率は格段に上がるのではないでしょうか。

 

 以前はハードウェアやPCのスペックなどの問題もあり、異なる税目を統合したシステムを創るということが不可能だったのかもしれませんが、その部分だけでも相当な効率アップに繋がるのではないでしょうか。

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